KDS dosokai

Kuwasawa award2025

桑沢賞2025

桑沢賞2025 特製賞状

2025 特製賞状
Design:
渡辺 和音(2023年桑沢賞受賞)
Comment:
桑沢賞としてふさわしい新しい賞状にするにはどうすればいいか。「賞状としての佇まい」よりもどういう考え方が「新しいデザイン」と感じてもらえるか。そこを構築しデザインしようと決めました。考えた結論は、既存の役目を果たした物だけを使用。再定義付けて賞状にする。賞状は新聞、ケースは古段ボールです。元からある折れやシワなどを活かし雑多で軽く。その上で桑沢賞の舞台にふさわしくあるように。試行錯誤しながら制作しました。

桑沢賞2025 特製Tシャツ

2025 特製Tシャツ
Design:
高橋敏(2023年桑沢特別賞受賞)
Comment:
Kをモチーフにして、受賞記念のTシャツです!というよりも、よく見たらKを感じる程度に、着やすいように軽いデザインにした。

桑沢賞(本賞)

青木 健二 Aoki Kenji

青木 健二

写真家
Comment:

バウハウスの理念は、「創造を通して社会とつながる」ことにあります。そして、私がそこから学んだ最も大きな教えは、“引き算”の力でした。
情報があふれる現代において、「何を見せないか」という問いが、私にとっての創作の出発点であり続けています。
このたびは、桑沢賞という名誉ある賞をいただき、心より感謝申し上げます。

青木 健二 作品1 サムネイル 青木 健二 作品2 サムネイル 青木 健二 作品3 サムネイル 青木 健二 作品4 サムネイル 青木 健二 作品5 サムネイル 青木 健二 作品6 サムネイル

桑沢特別賞

Watanabe Hiroaki Watanabe Hiroaki

渡辺 弘明

インダストリアルデザイナー
Comment:

この度はこのような栄誉ある賞をいただき、たいへん光栄に思います。歴代の授賞者のお名前を拝見致し、身が引き締まる思いです。私は桑沢の優れたカリキュラムによりインダストリアルデザイナーを志し、その後愚直にものづくりに励んでまいりました。これまでに出会った多くの方々に心より感謝致し、今後もクリエイターとして益々精進いたします。ありがとうございました。

渡辺 弘明 作品1 サムネイル 渡辺 弘明 作品2 サムネイル 渡辺 弘明 作品3 サムネイル 渡辺 弘明 作品4 サムネイル 渡辺 弘明 作品5 サムネイル 渡辺 弘明 作品6 サムネイル

桑沢スピリット賞

平林千明 Hirabayashi Chiaki

平林千明

玩具開発者
Comment:

素晴らしい賞をありがとうございます。好きな事を仕事にできたのは、桑沢デザイン研究所で学べたからだと社会に出てから実感しました。賞を励みに、これからも子供から大人まで楽しい記憶に残るモノづくりをしていきたいです。おもちゃの企画開発を評価して頂いた、先輩方、先生方に感謝致します。

平林千明 作品1 サムネイル 平林千明 作品2 サムネイル 平林千明 作品3 サムネイル 平林千明 作品4 サムネイル 平林千明 作品5 サムネイル 平林千明 作品5 サムネイル
岩柳麻子 Iwayanagi Asako

岩柳麻子

オーナーシェフパティシエール
Comment:

この度は桑沢スピリット賞という栄えある賞を賜り、心より感謝申し上げます。お菓子という限られた表現に、どこまで創造性を込められるか模索する日々。桑沢で培った観察力と感性が、その根幹にあります。この賞は私一人の力ではなく、共に挑んできた仲間や生産者の皆さま、応援してくださるお客様のおかげです。恐れずに挑み続けるクリエーションが、この先も生まれ続けていくことを願っております。

岩柳麻子 作品1 サムネイル 岩柳麻子 作品2 サムネイル 岩柳麻子 作品3 サムネイル 岩柳麻子 作品4 サムネイル 岩柳麻子 作品5 サムネイル 岩柳麻子 作品5 サムネイル

桑沢新人賞

戸田明希 Toda Akane

戸田明希

浅葉克己+菊地敦己ゼミ
Title:
Book or ?
Concept:
本とはなにか。
『走れメロス』を題材に、身の回りの物にグラフィックを施した。これらのグラフィックは、物語を読むことで“言葉”を持つようになる。その瞬間、機能の境界を定める主導権は、制作者から読者へ渡る。これらは本と呼べるのか、それとも別の概念として捉えられるべきものなのか。本の定義は、従来、形態や構造に基づいて論じられてきた。しかし、言葉が付与され、読者の解釈が介在することで、新たな“本”のあり方が生まれるとすれば、本とは何を指すのか。
Review:
日本語は漢字・仮名・アルファベットが混在する世界でも希な言語です。それと比較して表音文字であるアルファベットのみで構成された欧米文は組まれた文字組も均一で、テクスチャー・構成要素の一つとして使用できます。濃度の不均一な日本語をこの作品のように使用することは希でデザイナーは日頃、いかに意味や内容を伝達させるか。そのために可読性を考慮して日本語を組んでいる者には出来ない発想。とても新鮮味を感じました。
評者:八十島博明 (同窓会会長・グラフィックデザイナー・日本タイポグラフィ協会副理事)
Book or ? 1/4 Book or ? 2/4
横山友人 Yokoyama Yuto

横山友人

浅葉克己+菊地敦己ゼミ
Title:
寄生字体 Paratypo
Concept:
この作品は人間の直感的なゾッとするような感覚を追求しました。文字に寄生するように広がり、変容する形が見る者に身体的な不快感や恐怖を引き起こすことで、内側から湧き上がる叫びのような感覚を表現しました。
Review:
3Dは感情が見えにくく、そのまま使うとどうしても人間味を感じにくいもの。この作品ではそんな感情のない目的だけを遂行する現象(プログラム)に美を見出し、深掘りしています。文字をきれいに見せる、ではなく現象を抽出、破壊・再構築をした多角的な試みは見ていて心を動かされました。なにより作者自身が楽しみ・探求していると感じたのが一番の選考理由です。
評者:渡辺和音(同窓会委員・株式会社 There There 代表取締役・アートディレクター)
寄生字体 Paratypo 1/4 寄生字体 Paratypo 2/4
渡邊萌衣 Watanabe Mei

渡邊萌衣

伊藤透ゼミ
Title:
Scarlet Girls Night
Concept:
友と過ごして生まれるポジティブで情熱的なエネルギーはとても美しい。女子会などから得られる女性のバイタリティをテーマにコスメアイテムをデザイン。膨らみ続けるバルーンのように、笑い声やおしゃべりとともに弾む心は、輝きを増していくー。そんなエネルギーを表現するために、バルーンモチーフでアイテムを制作しました。
Review:
バルーンをモチーフとした形状は、遊び心にあふれ、パーティーの笑い声や弾む会話、胸の高鳴りといった楽しい余韻を想起させる作品として非常に印象的でした。使う人の気分を自然と盛り上げる感情的な価値に加え、視覚的な楽しさと実用性を見事に融合させている点も高く評価いたします。日常に輝きと喜びをもたらす可能性を秘めた素晴らしい作品です。
評者:宮澤太地(同窓会理事・アートディレクター)
Scarlet Girls Night 1/4 Scarlet Girls Night 2/4
渡部沙幸 Watabe Sayuki

渡部沙幸

羽金知美ゼミ
Title:
さがしもの の あしあと
Concept:
「地元どこ?」「◯◯。でも、なにもないところだよ」
私の周りの友人との会話のたびに「なにもない」なんてことはない、なにかあるはず。と
私は悔しくて、色んな場所を巡り歩きカメラのシャッターを切りはじめた
初めて行く地域を歩いていると、その土地ならではのおみやげに出会う
でも私はそれを買わず、写真をおみやげにする
おみやげを選ぶ感覚で、その土地の魅力を見つけだし視点を向けた
レンズの向こうにある
そこにしかない景色や、思いも寄らない光景に出会う
Review:
「私の地元は何もないところ」という友人の言葉に疑問を持ち、作者はカメラを持って街に出ます。「何もないところなんてない」の証左を探しに。そして見つけ出します。見逃されていたもの、忘れられてしまいそうな足跡を。自然光の中で切り取ったのはなんの変哲もない日常の一瞬です。しかしその前後の時間、空間を感じさせる視点の奥行きがあり、強く惹きつけられました。
評者:宮代美佐江(同窓会委員)
さがしもの の あしあと 1/4 さがしもの の あしあと 2/4
久能楓 Kuno Kaede

久能楓

臼木幸一郎ゼミ
Title:
みぎひだりどっち!?展
Concept:
左右の咄嗟の判断が苦手な「左右盲」。その言葉と存在を広めるため、まずは「左右の曖昧さ」を知ってもらうことを目的とした体験型展示会の提案です。5つの身近な道具を取り上げ、その操作部を回す方向をテーマにしたクイズと、回す方向を間違えなくなる操作部の形の提案を行います。クイズによる体験で、左右が曖昧な概念であることを伝えた上で、インターフェースの工夫でその混乱を減らせることを示し、適切なデザインを用いることの重要性を伝えます。
Review:
日これからの時代、デザインに携わる人間に必要とされるのは、一つの専門領域に留まらず飛び越える「越境力」と、豊かな視座から生まれる「翻訳力」であり、本作品は久能さんが見せてくれた、越境と翻訳の素敵な一例と言えるでしょう。モデリング力だけではなく、ライティング、グラフィック、ディスプレイに至るまでどれもレベルが高く、ディレクションを含む総合力を感じた作品です。
評者:鈴木順平(同窓会委員・プログラムディレクター)
みぎひだりどっち!?展 1/4 みぎひだりどっち!?展 2/4
馬瀬日向子 Mase Hinako

馬瀬日向子

篠﨑隆ゼミ
Title:
fair
Concept:
これは空間に幸せを広げる「空気以上家具未満、パーテーション以上棚以下」の作品。作品のタイトルである「fair」は作品のコンセプトである家具のfurniture と空気のair から由来している。柔らかくて自立するはずのないオーガンジーの布が自立している不思議さや布の特徴である柔らかさ、不定形さが、空間に存在しているけど感じさせないような佇まいを作り出す。帰り道に拾った小さな植物や摘んだ花、自分のお気に入りのものなどをそこに置き、ふとした瞬間に置いたものが目にとまり、記憶が蘇ることで空間に幸せが広がり漂うのではないかなと考える。
Review:
薄い化繊の布素材を2枚重ねに接着するとモアレ模様ができるのを発見。その面材としての強度から構造の考察をつなげて、フレームなしでも自立する形状をつくっています。できたかたちは反面とても繊細で、光を柔らかく通してゆらゆらと揺れる、定形と不定形の境目を漂うような造形。日常のささいな拾い物、例えば夕方ふと立ち寄った神社の静かな境内に落ちていた松ぼっくりのような─を置く棚という設定も、とても詩的です。
評者:宮畑周平(同窓会委員・編集者・政治家)
fair 1/4 fair 2/4
河村健太 Kawamura Kenta

河村健太

藤田恭一ゼミ
Title:
今までとこれから
Concept:
小学生から十数年続けてきたサッカーは、 私の生活の一部でした。卒業制作では、自分の原点に立ち返り、 これまでの学生生活に区切りをつける作品を作りたいと考えました。 服づくりに興味を持つきっかけも、 サッカースパイクヘの関心からでした。 そこで、 自ら使用してきたスパイクやボール、 キーパーグローブなどを再構築し、 新たなファッションの形を提案します。 競技としてのサッカーを、デザインとして昇華し、 ファッションの楽しさや可能性を伝えることを目指しました。
Review:
作者は自分自身と真摯に向き合い、試行錯誤の末にたどり着いたシンプルな答えを服に凝縮している気がしました。そのプロセスが物語として立ち上がり、観る者の心の中にすっと入り込んでくる点が印象的です。サッカー特有のスピード感とダイナミックさに、現代的なフォルムへの挑戦が溶け合い、「実際に着てみたい」と思わせる格好良さとのバランスも秀逸です。全体から溌剌とした爽やかさが感じられ、魅力的な作品に仕上がっています。
評者:三上司(同窓会委員・FD分野非常勤講師・デザイナー)
Book or ? 1/4 Book or ? 2/4
山﨑舞華 Yamazaki Maika

山﨑舞華

夜間VD2B
Title:
「吉山歩」「風立ちぬ」堀辰雄
Concept:
東京土産「吉山歩」では、井の頭公園で見たスワンボートに生命のような躍動を感じたことから、その感動を作品に込めました。また『風立ちぬ』『美しい村』の装丁は、「今まで気付かなかったことに、ある時ふと気付いてからあたたかく感じられる」というテーマを元に制作しました。風雪紋から着想を得た挿絵と、雪に霞む景色を再現したスリーブ箱で、読み進めるうちに冷たく色のない装丁が馴染みあるものになっていく体験を表現しています。
Review:
パッケージ作品「吉山歩」は、井の頭公園のスワンボートという目の付けどころもユニークですが、そのモチーフから展開されるほのぼのと味わいのあるロゴマークやイラスト表現、ゆるい世界観ながらもきめの細かいデザインに完成度の高さを感じました。「すわんぼうろ」というお菓子の名前も素敵です。一転して抽象的な手法で装丁された書籍『風立ちぬ』においては、読む人の目線で構築されたデザインにプロ意識が垣間見えました。
評者:日下部昌子(同窓会理事・株式会社TSDO アートディレクター)
Book or ? 1/4 Book or ? 2/4

総評

山崎泰 Yamazaki Yasushi

山崎泰

ジャーナリスト

今回、初めて桑沢賞の審査に参加しました。多様な分野・世代の候補者の活動に圧倒されつつも、他の審査員との対話を通じて視野が広がり理解が深まりました。本賞の青木健二さんの作品は、極めて精緻に構成された対象を「ここしかない」という一点から写し取って見せるものです。大胆さと繊細さが共存するその表現は、力強く魅力的でした。作品は著名な米国の雑誌で表紙を飾るなど文化を越えて評価されています。青木さんのミニマルで緻密な作家性の根底には、桑沢で培われた「デザインの原動力」が息づいていると感じます。デジタル全盛の時代にあって、写真の可能性をあらためて考える機会となりました。

髙橋正実 Takahashi Masami

髙橋正実

クリエイティブディレクター
デザイナー
コンセプター

桑沢賞の審査の現場は心のこもった会場です。会長、所長、審査員、同窓会皆さんが、桑沢の未来のため、学生さん、卒業生みなさんのため、これから更に飛躍される方を応援していきたい、という想いでこの桑沢賞があるという正に空気の中に同席させていただいています。
この多様性ある桑沢、時代がまるでやっとここに追いついたかのような、この時代の中で、この度の青木さんの受賞は、正に桑沢の精神をそのままに、世界でご活躍されていることにありました。
様々なものが成熟したかのようなこの時代に、どなたになるかは、正に、カオスとノモス、そういった世界が全て凝縮されたような、多くのものがあった上で落とし込まれていく、桑沢での学びから共有できる、ゼロの様な世界、デジタルも含め時代を超えた普遍的なもの、この桑沢での学びが大きな呼吸法となっている桑沢を表現もされたもの、その美を、青木さんの作品に思いました。
デジタルを一切使用しない青木さんの作品へ正に、デザインの、「見えないものを見えるようにする力」「まだ気づかないところを気づかせてくれる力」を感じました。基礎からしっかりとした訓練を積んだ上にこそある、素晴らしい作品群とご活躍、そこにこの時代の桑沢賞を感じました。